
日本語学習者が難しいと感じる文法の一つに「とも」があります。特に「いしゃともあろうものが~」のような表現は上級者向け(JLPT N1)で、重要ですが誤解もしやすいです。この記事では、ベトナム人やインドネシア人の実習生がつまずきやすいポイントを中心に、「とも」の使い方を詳しく解説します。
問題
いしゃ _ あろう もの が、そんな ことを いう とは。
問題:「いしゃ _ あろう もの が、そんな ことを いう とは。」の空所に入る適切な語は何か?日本語のニュアンスを正確に理解することが大切です。
- にも
- とも
- しも
- でも
正解
正解は「とも」です。読みは「とも」、意味は「~の立場・資格であるにもかかわらず」という強調の表現。漢字では通常「共」と書きますが、ここではひらがなです。
なぜこの答え?
ここでの「とも」は「医者ともあろう者が」の形で使われており、社会的地位や資格を持つ者に期待される行動と違うことが起きて驚きや非難を表す慣用表現です。動詞「あろう」は「ある」の推量形で、「~ともあろう者が」で「~にしては」という強調になります。
ベトナム人学習者は「とも」を接続助詞として勘違いしやすく、同じように見える「でも」と混同するケースが多いです。インドネシア人学習者も「とも」の用法が限定的なため、実際の例文を使いながら使い方を定着させる指導が効果的です。
他の選択肢が違う理由
- にも:「にも」は格助詞で場所・対象を示す。「会社にも行きます。」(私は会社にも行きます。)
- しも:「しも」は単独ではあまり使われないが、「もし」の強調形として古文で使われることがある。例:「彼にもしも雨が降れば」
- でも:「でも」は逆接の接続詞や補助動詞で、「私でもできる」など使うが、「ともあろう」の強調表現としては使わない。
例文
- 医者ともあろう者が、そんなミスをするとは信じられない。
(いしゃともあろうものが、そんなミスをするとはしんじられない。)
医者であるにもかかわらず、そのようなミスをするとは信じられない。 - 彼は先生ともなれば、もっと責任感が必要だ。
(かれはせんせいともなれば、もっとせきにんかんがひつようだ。)
先生という立場なら、もっと責任感を持つべきだ。 - 大人ともなると、もっと自分のことを考えるべきだ。
(おとなともなると、もっとじぶんのことをかんがえるべきだ。)
大人の立場になれば、より自分を考える必要がある。 - 社長ともあろう人が、そんな簡単な質問も答えられないのは驚きだ。
(しゃちょうともあろうひとが、そんなかんたんなしつもんもこたえられないのはおどろきだ。)
社長という立場でありながら、簡単な質問にも答えられないのは驚くべきことだ。
会話例
佐藤:医者ともあろう者が、そんなことを言うとは驚きです。
(さとう:いしゃともあろうものが、そんなことをいうとはおどろきです。)
Sato: 医者の立場の人がそんなことを言うのは驚きですね。
鈴木:まったくです。専門家なのに軽率な発言です。
(すずき:まったくです。せんもんかなのにけいそつなはつげんです。)
Suzuki: 本当に。専門家なのに軽はずみなことを言いました。
佐藤:患者さんも困惑しているでしょうね。
(さとう:かんじゃさんもこんわくしているでしょうね。)
Sato: 患者も困っているでしょう。
鈴木:今後はもっと注意してほしいです。
(すずき:こんごはもっとちゅういしてほしいです。)
Suzuki: これからは注意してもらいたいです。
使う場面
- 職場で、専門家や役職者が期待に反した行動をしたときに「ともあろう」を使って驚きや非難を表現する。
- 同僚や上司の評価や意見で、人の立場や資格に対する期待を示す表現として使われる。
- 新聞やニュースで、専門家の言動の異常さを強調する際に用いられる。
- JLPT N1レベルの学習者向けに、複雑な感情や姿勢を示す文として教えると効果的。