
「ことなく」はJLPT N3で出題されやすい表現で、「~せずに」「~ないで」とほぼ同じ意味を持ちます。しかし、形式張った文章や書き言葉でよく使われるため、学習者には少し難しい表現です。実習生の中には「ことに」や「ことから」と混同する人も多いので、正しい使い分けを教える必要があります。職場の報告や公式な文章で実際に使われることも多いので、理解を促しましょう。
問題
かれは いちども やすむ _、はたらきつづけた。
問題文は「彼は一度も休む_、働き続けた。」です。ここで入る正しい接続表現は何でしょうか?意味は「休むことなく=休まずに」という、『~ないで』の強調表現です。
- ことで
- ことに
- ことなく
- ことから
正解
正解は3の「ことなく(kotonaku)」です。漢字は「事なく」。この表現は『~せずに』の意味で、動作が起こらないことを強調し、そのまま後続の動作が継続することを表します。
なぜこの答え?
「ことなく」は格式の高い文語的表現で、「~ないで」より硬い響きがあります。文法的には動詞の辞書形+ことなくで使われ、多くは報告書やニュース、説明文で見られます。学習者が間違えやすいのは、似た表現の「ことで」、「ことに」、「ことから」との混同です。それぞれ意味や用法が異なるので、例文を示して理解させることが教え方のコツです。
他の選択肢が違う理由
- ことで(koto de):原因や契機を示す。「新しい機械を導入したことで、生産性が上がった。」(新しいきかいをどうにゅうしたことで、せいさんせいがあがった)
- ことに(koto ni):感情の強調や驚きを表す。「嬉しいことに、試験に合格した。」(うれしいことに、しけんにごうかくした)
- ことから(koto kara):原因や理由の説明。「彼の態度が悪いことから、問題が起きた。」(かれのたいどがわるいことから、もんだいがおきた)
例文
- 彼は風邪を引くことなく、毎日仕事をしています。(かれはかぜをひくことなく、まいにちしごとをしています)He works every day without catching a cold.
- この機械は一度も故障することなく、十年間動いています。(このきかいはいちどもこしょうすることなく、じゅうねんかんうごいています)This machine has been operating for ten years without any breakdown.
- 先生は説明をわかりやすくすることなく、皆が困ってしまった。(せんせいはせつめいをわかりやすくすることなく、みながこまってしまった)The teacher did not make the explanation easy to understand, so everyone was troubled.
- 彼女は一度も遅刻することなく、いつも時間通りに来ます。(かのじょはいちどもちこくすることなく、いつもじかんどおりにきます)She always arrives on time without ever being late.
会話例
A: 田中さんは、今日も休みませんでしたね。 — Today, Tanaka-san didn’t take a rest again, right?
B: そうですね。休むことなくずっと働いています。 — Yes, he has been working continuously without taking any break.
A: 疲れていないか心配です。 — I’m worried he’s getting tired.
B: 私もそう思いますが、田中さんは頑張っています。 — I think so too, but Tanaka-san is doing his best.
使う場面
- 職場の報告書や日報で、「休むことなく」「故障することなく」など連続性や無休の形を伝える時に使われる。
- ニュースや新聞の文章で、出来事が途中で止まらずに続いていることを表す。
- 公的な説明文やプレゼン資料で、物事が途切れなく進んでいることを強調する。
- 学習者には「~ないで」と比較しながら、公式・文語的ニュアンスの違いを意識させる。